金属基板の実装時の主な注意点|アルミ基板・銅基板の放熱・絶縁・はんだ付け不良を防ぐポイント

金金属基板の実装時の主な注意点|アルミ基板・銅基板の放熱・絶縁・はんだ付け不良を防ぐポイント

はじめに

LED照明機器やパワーデバイス、車載・産業用機器など、発熱を伴う製品では、アルミや銅をベースとした金属基板が多く採用されています。
金属基板は放熱性に優れる一方で、通常のFR-4基板とは性質が異なるため、実装工程での扱い方を誤ると不良が発生しやすいのが特徴です。

この記事では、アロー産業が現場で蓄積した経験をもとに、アルミ基板・銅基板に共通する実装時の注意点 を整理します。

1. 金属基板の構造を理解する

まず、金属基板(メタルベースPCB)は以下のような構造になっています:

  • 表面銅箔層:電子回路を形成する導体パターン
  • 絶縁層(介在層):放熱性を保ちながら電気的に絶縁する層
  • 金属ベース:主にアルミまたは銅。放熱を担う

弊社で扱う金属基板用の絶縁層の厚みは一般的に80~120μm程度で選定しており、熱伝導率と絶縁耐圧のバランスが重要です。
過度な加熱や力が加わると、絶縁層の破壊や剥離につながります。

2. 実装時の主な注意点

(1)予熱とリフロー温度の管理

金属ベースは熱容量が大きく、一般基板よりも加熱・冷却に時間がかかります
通常のリフロー条件をそのまま適用すると、はんだが十分に溶融しなかったり、温度差による反りが発生することがあります。

推奨対応:

  • プリヒート時間を長めに設定(+30〜60秒)
  • ピーク温度は250〜260℃程度を目安に制御
  • 急冷を避け、自然冷却に近いプロファイルを取る

(2)絶縁層の熱ストレス破壊

アルミや銅ベースは熱伝導が高く、局部的な加熱では温度が均一になりにくい傾向があります。
その結果、はんだ付け中に絶縁層が熱膨張差で破壊されるケースがあります。

対応策:

  • スルーホールやVIAを設計段階で避ける
  • 長時間の高温保持を避ける
  • 放熱パッド面積を均一化して局部加熱を避ける

(3)基板反りと固定治具

リフロー中の温度差によって、金属基板がわずかに反ることがあります。
これが原因でBGA・QFNなどのピン下にオープン不良が発生する場合があります。

対策:

  • リフロー治具で基板を固定する
  • 両面実装は軽実装側から行う
  • 大判基板ではスリット追加で応力分散を図る

(4)表面処理の選定

金属基板では、表面処理の選択が実装品質に直結します。

結論から言うと:
共晶はんだレベラー(HASL)/鉛フリーHASLは金属基板とは相性が悪いです。
理由は主に次の2点です。

① HASLの高温工程で反り・ねじれが発生しやすい

はんだ槽は約250~270℃という高温。
金属基板は「銅箔/絶縁層/金属ベース」で構成され、各層で熱膨張率が異なります。
これに強い熱負荷を与えると:

  • 絶縁層の膨張差で破壊
  • ベースメタルと銅箔の熱膨張差で反り・ねじれ
  • パターン浮きやレジスト剥離

などの問題が発生しやすくなります。

② ベース金属に不要なはんだが付着し、放熱性能が落ちる

特に銅ベース基板では顕著です。
はんだ槽に浸けると、基板外周のベース金属にもはんだが乗り、 放熱性を阻害する“はんだ皮膜”が形成されてしまいます。

結果:

  • 熱拡散が悪化
  • 設計した放熱パスが崩れる
  • 温度上昇が大きくなる

これは金属基板としては致命的です。

▶ 推奨処理:水溶性プリフラックス

金属基板に最も相性が良いのは水溶性プリフラックスです。
理由:

  • 高温槽に入れないので反りが出にくい
  • ベース金属に余計なはんだが付着しない
  • 表面が平滑で実装が安定
  • LED・放熱基板用途で実績豊富

金属基板メーカーの多くが標準推奨としています。

(5)絶縁距離とクリアランス

高電圧を扱う回路では、金属ベースとの絶縁破壊に特に注意が必要です。
放熱パッド直下が金属ベースに近い場合は、最低0.3mm以上の絶縁層厚みが必要です。

3. 実装不良の代表例と対策

不良内容原因対策
はんだボイド放熱面のガス抜け不足プリベーク・真空リフローを検討
レジスト剥がれ温度ストレス・加熱ムラ硬化条件見直し
絶縁破壊過熱・放熱集中絶縁層強化・パッド形状調整
部品浮き反り・冷却ムラ治具固定とプロファイル最適化

まとめ

金属基板は放熱性に優れていますが、反り・絶縁破壊・はんだボイドなど、実装時のリスクも多い材料です。
特に表面処理は水溶性プリフラックスが最も安定し、逆にHASLは適さない点は押さえておくべき重要ポイントです。

適切な実装条件・設計配慮を行うことで、金属基板の性能を最大限に引き出すことができます。


アロー産業では、基板の用途や特性に応じて、最適な実装工場を選定できる幅広いパートナー体制を整えています。
金属(アルミ・銅ベース)基板・厚銅基板・多層基板・LED基板など、それぞれ得意分野の異なる協力工場と連携することで、
製品仕様に最も適した実装方法をご提案し、高い品質と安定した仕上がりを実現します。

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