厚銅基板の定義

厚銅基板は、回路設計や基板設計において特定の要件を満たすために使用される基板の一種です。

以下に厚銅基板についての詳細を説明します。

定義: 厚銅基板は、通常の基板の銅箔の厚さ(一般的には35μmから105μm)を超え、140μm以上の銅を使用した基板を指します。

これにより、高い電流耐性、優れた放熱性、そして高い耐久性を実現しています。

特性: 銅は金やアルミよりも熱伝導率が高く、この性質により厚銅基板は特に放熱効果が高まります。

これは、厚銅基板が高発熱デバイスの冷却に非常に有効である理由の一つです。

用途とメリット

厚銅基板は以下のような用途に適しています:

  • 高電流が必要な車載関連の基板。
  • 高輝度LEDなどの高発熱デバイスのヒートシンクとして。
  • 基板全体の熱伝導効果を高めるため。
  • 部品の動作温度を下げ、寿命を延ばすため。

これらの用途において、厚銅基板はそのメリットを最大限に活かすことができます。

厚銅基板の設計パラメータと種類

設計上では、銅箔厚35μmの場合、パターン幅1.0mmにつき1アンペアの電流が流せるとされています。

銅箔厚、線幅、電流値を変えることで、様々なニーズに応じた基板設計が可能です。

種類:

  • バスバー基板: 内層に金属加工したバスバーを積層する方法。
  • キャビティー基板: ザグリ加工をして導体をむき出しにし、デバイスを直接放熱させる。
  • 銅インレイ基板: 高放熱部品の直下に銅材を圧入。
  • 同一面異厚銅基板: 同一面に異なる厚みの銅パターンを形成。

厚銅基板の製造プロセスと材料

製造プロセスでは、標準的な基板と比較してより厚い銅箔を使用し、高い電流供給と優れた放熱を実現します。

これには、特定の銅箔を施したコア材を使用し、エッチングによりパターンを形成します。

設計上の注意点

  • 部品の密集度: 実装部品が密集しているとリフロー時に温風が均等に行き渡らず、はんだが溶けにくくなることがあります。
  • 部品配置を見直し、スペースを広げることが重要です。
  • パターン幅: 幅の広いベタパターンへの注意が必要で、サーマルランドを設けることではんだが溶けやすくなります。

厚銅基板はその優れた放熱性と高い電流容量で、電力供給が要求されるさまざまな産業において重要な役割を果たします。

適切な設計と部品選定により、信頼性の高い基板を実現することができます。