プリント基板の放熱設計:効果的な導体パターンで製品信頼性を向上させる方法
プリント基板製造において、放熱はデバイスの信頼性やパフォーマンスに直結する重要な課題です。
特に、導体パターンの設計は、放熱性能に大きな影響を与えます。
今回は、プリント基板の放熱性能を最大化するために導体パターン設計におけるポイントについて解説します。
導体パターンの幅を広げる
最も基本的で効果的な方法の一つは、導体パターンの幅を広げることです。
広い導体パターンは、熱をより効率的に伝導し、基板全体に拡散させることができます。
例えば、電流が多く流れる部分や高発熱の部品に接続される導体パターンは、特に広く設計することで放熱効果を向上させることが可能です。
銅箔の厚みの選定
導体パターンを形成する銅箔の厚みも放熱性能に大きく関わります。
標準的なプリント基板では、1オンスの銅箔(約35µmの厚さ)が使用されますが、放熱を重視する場合は、2オンス(約70µm)やそれ以上の厚みを持つ銅箔を採用することが有効です。
銅の厚みが増すことで、電流のキャパシティが増加し、熱伝導性が向上します。
サーマルビアの使用
サーマルビアは、プリント基板の表面から裏面、または層間に熱を伝えるためのビアです。
特に、高発熱部品のパッドから熱を逃がすために、ビアを多く設けることが効果的です。
これにより、熱が基板全体に効率よく分散され、過熱を防ぐことができます。
GND層の活用
GND(グランド)層は、通常、基板内で広く均一に配置されるため、熱を効率よく拡散させることができます。
導体パターンを設計する際に、GND層と接続し、熱の逃げ道を確保することが重要です。
GND層自体が大きなヒートスプレッダーとして機能し、基板全体の放熱性能を高めます。
ヒートスプレッダーの導入
導体パターンの一部として、広いメタルプレートやヒートスプレッダーを導入することで、特定の部品からの熱を効率的に分散させることができます。
特に、パワーデバイスやLEDのような高発熱部品の下に配置することで、熱管理が容易になります。
ヒートシンクとの接続
導体パターンを設計する際に、ヒートシンクと直接接続できるようにすることも放熱を効果的に行う方法です。
ヒートシンクとの接続部分を広くすることで、熱をヒートシンクに効率的に伝達し、基板全体の温度を低く保つことができます。
シミュレーションを活用した最適化
専用の熱解析ソフトを使用することで、導体パターンの放熱性能を事前にシミュレーションすることが可能です。
このようなソフトを用いることで、設計段階で熱の流れを可視化し、問題がある箇所を特定して修正することで、最適な放熱パターンを設計できます。
これにより、熱管理の効率が向上し、製品の信頼性を高めることができます。
まとめ
導体パターンの設計は、プリント基板の放熱性能に直結する重要な要素です。
広いパターン、適切な銅の厚み、サーマルビアの導入など、放熱を効果的に行うための手法を組み合わせることで、デバイスの信頼性と性能を向上させることができます。
プリント基板設計における放熱対策は、特に高性能な電子機器の製造において欠かせない要素であり、適切な設計が求められます。
当社は、放熱基板の製造を得意としており、特に高発熱デバイス向けの基板設計において豊富な経験と実績があります。
放熱に関するお悩みやご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。