はんだの種類と特徴

新型コロナウィルス感染第5波も収まりつつあり、少し涼しくなってきましたのでお出かけもしやすくなったかと思います。

秋の行楽を楽しみたいですね。

さて今回はプリント基板とは切っても切り離せない『はんだ』について説明させていただきます。


はんだの歴史をひも解けば、約5000年前には既に古代メソポタミアで青銅器に銀の装飾を施すため、Ag-CuはんだやSn-Agはんだが使われていたそうです。

また、古代ローマにおいてはSn-Pb系はんだ(現在の共晶はんだとほぼ同じ)で水道管が接合されていたそうです。

そんな長い歴史を持つはんだですが、以下の2種類+αのはんだがプリント基板の表面処理や実装によく使われております。

・共晶はんだ(有鉛はんだ)

かつては、はんだといえばこの共晶はんだが主流でした。

成分はSn(すず)がおおよそ63%、Pb(鉛)がおおよそ37%で構成されております。

Sn(すず)の融点は232℃、Pb(鉛)が327℃ですが、これを合金にする事で融点が183℃まで低くなり、融点が低く加工がしやすいのが特徴です。

鉛が含有されていることで、柔らかい鉛が応力を緩和させる効果があり、はんだ付けの信頼性が高い為、現在でも高い信頼性が求められる航空産業や車載などの電子機器のはんだ付けに使われています。

しかし、鉛は人体や環境へ悪影響を及ぼす為、Rohs指令等で原則使用禁止とされるなど、現在では後述する鉛フリーはんだへの置き換えが進んでおります。

・鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)

鉛を含まないはんだを総称し、鉛フリーはんだと呼びます。

Sn(すず)に他の金属がプラスされた様々な合金パターンが存在します。

一般的なのが、Sn(すず)96.5%、Ag(銀)3.0%、Cu(銅)0.5%で構成された合金です。

この組成の場合の融点は約220℃であり、共晶はんだと比較すると若干高くなりますが、他の鉛フリーはんだ(※)の組成に比べ、信頼性が高い事から広く普及しております。

前述の通り、鉛は人体および環境に悪影響を及ぼすことから、市販の家電製品に使われるはんだは鉛フリーはんだが主流となっております。

※鉛フリーはんだの組成は、上記Sn-Ag-Cuの他に、Sn-Zn-Bi系、Sn-Cu系、Sn-Ag-In-Bi系などがあります。

・その他(Au-Sn 金すずはんだ)

金すずはんだは高い信頼性、耐腐食性、良好な塗布性、高い熱伝導性や高い表面張力など多くの利点を備えています。

そのため、高輝度LED、ペルチェ素子、パワー半導体などのダイボンド用途に使用されることが多いです。

しかし、金錫はんだの融点は280℃と従来の鉛フリーはんだと比較するとさらに高い温度帯となり、一般的な実装メーカーでは対応していないところが大半です。

以上、はんだについての予備知識でした。


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