ガラス転移温度(Tg / Glass Transition Temperature)とは|高耐熱プリント基板に欠かせない指標
PCBやプリント基板の設計で「Tg(ガラス転移温度)」は、耐熱性を判断する重要な指標です。
基板材料の主成分である樹脂が「ガラスのように硬い状態」から「ゴム状に柔らかくなる温度」を示します。
Tgを理解しておくことで、熱による基板の変形や劣化を防ぎ、信頼性の高い製品設計が可能になります。
Tgの意味と基板への影響
Tgを超えると、基板内部の樹脂が膨張しやすくなり、反りや剥離、クラックが発生しやすくなります。
リフローはんだ付け工程や高温環境下で使用される電子機器では、低Tg材料を使うと基板が変形し、導通不良や寿命低下の原因となります。
そのため、使用環境温度より20〜30℃以上高いTg材料を選定することが推奨されます。
FR-4基板における代表的なTg値
| 分類 | 一般的なTg値(℃) | 用途例 |
|---|---|---|
| 低Tg材 | 120〜135 | 一般電子機器、低発熱製品 |
| 中Tg材 | 140〜160 | 産業機器、照明・制御基板 |
| 高Tg材 | 170〜200 | 自動車、パワー半導体、LED照射器など |
高Tgだからといって必ずしも最適とは限りません。
放熱性、熱膨張率(CTE)、加工性とのバランスを取ることが重要です。
高Tg基板を選ぶ際の注意点
高Tg材料は優れた耐熱性を持つ一方で、次のような注意点もあります。
- 材料が硬いため、ドリル摩耗が早く加工条件の最適化が必要
- 吸湿率が低く耐湿性には優れるが、レジストやメッキ密着に影響する場合がある
- 一般FR-4よりコストが上昇する傾向がある
用途に応じて、コストと性能のバランスを取ることが大切です。
アロー産業の取り組みと実績
アロー産業では、FR-4や高Tgガラエポ材、さらには銅ベース・アルミベースのメタル基板まで、
使用環境と放熱要求に合わせた最適な材料提案を行っています。
特に、LED照明・電源回路・車載用途などの高放熱・高耐熱分野では、
Tg値だけでなく熱伝導率やCTE(熱膨張特性)を組み合わせた設計提案で信頼性を確保しています。
「どのTg材料を選べばいいかわからない」「高温環境での耐久性を上げたい」など、
材料選定に関するご相談も承っております。
まとめ
ガラス転移温度(Tg)は、基板材料の耐熱性能を評価する上で欠かせない指標です。
使用環境に応じて適切なTg材料を選ぶことで、製品の寿命・信頼性・製造安定性が大きく向上します。
アロー産業は、豊富な材料知識と経験をもとに、お客様の用途に最適な基板をご提案いたします。
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