AI需要で難しくなる電子部品調達
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基板製造から部品調達・実装まで一括発注するメリットと注意点
近年、プリント配線板を製造するだけでなく、電子部品の調達から実装まで含めて依頼する「一括発注」が増えています。
電子機器の高機能化によって使用する部品点数が増え、部品の選定や在庫確認、代替品の検討までを発注者側だけで行うことが難しくなっているためです。
さらに最近では、生成AIの普及やデータセンターの増設により、半導体や電子部品の需要が拡大しています。JEITA(電子情報技術産業協会)も、AI関連需要を背景として半導体関連部品の需給が逼迫し、価格上昇や納期長期化が発生していると説明しています。
すべての部品が一律に不足しているわけではありませんが、メモリー、電源関連部品、高性能半導体などを中心に、これまで容易に購入できた部品でも納期や価格が安定しないケースが見られるようになりました。
基板は作れても、部品がそろわない
基板製造から実装までの工程では、必要な部品が一つでも不足すると製品を完成させることができません。
特に注意が必要なのは、IC、コネクター、センサー、電源部品など、簡単に代替できない部品です。基板の製造が完了していても、特定の部品が入荷しなければ実装工程を開始できず、製品全体の納期が遅れてしまいます。
そのため、現在の基板発注では、基板の製造納期だけでなく、部品の在庫や調達期間を早い段階で確認することが重要になっています。
正規代理店に在庫がない場合の調達方法
電子部品は、メーカーや正規代理店からの購入を基本とします。しかし、正規代理店に在庫がない場合や、必要数量が少ない場合には、DigiKey、マルツオンライン、秋月電子通商などの電子部品販売店から調達することもあります。
ここで注意したいのは、購入先の名称だけで「正規品」「市場品」を判断しないことです。
DigiKeyは多数のメーカーから認定を受けた公認ディストリビューターです。また、マルツエレックはDigiKeyの国内正規代理店として部品を供給しています。このような正規流通ルートの商品と、出所を確認しにくいブローカー品やオープンマーケット品は、品質管理上、区別して考える必要があります。
社内管理上、通販サイトなどから購入した部品をまとめて「市場品」と呼ぶ場合でも、実際の採用判断では、販売元、仕入れ経路、メーカー保証、トレーサビリティーの有無を個別に確認することが大切です。
部品調達で確認したいポイント
1.型番の末尾まで確認する
電子部品は、基本型番が同じでも末尾記号によって、パッケージ、端子形状、温度範囲、梱包形態、鉛フリー対応などが異なることがあります。
似た型番だから使用できると判断せず、メーカー型番を末尾まで照合する必要があります。
2.在庫数と納期を確認する
販売サイトに表示されている在庫数だけでなく、必要数量を一度に確保できるか、いつ出荷されるかも確認します。
試作分は購入できても、量産分を継続して確保できないケースがあるため、将来の使用数量も考慮した判断が必要です。
3.生産終了予定を確認する
EOL(生産終了)やNRND(新規設計非推奨)になっている部品を新しい製品に採用すると、量産開始後に調達できなくなる可能性があります。
長期間生産する製品では、部品の供給状況やメーカーの製品ライフサイクルも確認しておく必要があります。
4.代替部品を事前に検討する
調達が難しくなってから代替品を探すと、基板設計の変更や再評価が必要になり、納期が大幅に延びることがあります。
あらかじめ第二候補の部品を選定し、電気特性、外形寸法、端子配置、実装条件などを確認しておくと、供給状況の変化に対応しやすくなります。
なお、代替部品を使用する場合は、発注者の承認を得たうえで採用することが基本です。
5.製造ロットと保管状態を確認する
市場流通品を使用する場合は、デートコード、製造ロット、防湿梱包、保管期間なども重要になります。
特にICなどの吸湿しやすい部品は、保管状態が悪いとリフロー実装時にパッケージ内部で不具合が発生する可能性があります。
6.トレーサビリティーを確保する
購入先、購入日、メーカー型番、数量、製造ロットなどの情報を記録し、不具合発生時に使用部品を追跡できるようにします。
出所や保管状態を確認できない部品については、外観確認や電気特性の評価など、リスクに応じた受入確認が必要です。
基板・部品・実装を一括発注するメリット
基板製造、部品調達、実装を別々の会社に依頼すると、基板と部品の組み合わせや納期調整を発注者自身が管理しなければなりません。
一括発注では、基板の製造と並行して部品の在庫確認を進められるため、調達に時間がかかる部品を早期に発見できます。
また、次のようなメリットがあります。
- 基板製造と部品調達を並行して進められる
- 部品の不足や型番間違いを早期に発見できる
- 実装可能な部品形状か事前に確認できる
- 入手困難品の代替候補を検討しやすい
- 発注先と問い合わせ窓口を一本化できる
- 基板完成後に部品がそろわないリスクを減らせる
最近、当社でも基板単体の製造だけでなく、部品調達から実装まで含めたご相談が増えています。
早めの部品確認が納期遅延を防ぐ
AI関連需要の増加により、電子部品の調達環境は今後も変化することが予想されます。
希望納期に製品を完成させるためには、基板設計が完了してから部品を探すのではなく、設計段階から部品の供給状況を確認することが重要です。
ご相談の際には、部品表(BOM)、メーカー型番、必要数量、希望納期、代替部品の可否などをご提示いただくことで、より早く調達状況を確認できます。
基板製造から部品調達、実装までを一括して検討することは、発注業務を簡素化するだけでなく、部品不足による納期遅延や品質リスクを抑える有効な方法です。
部品の入手が難しい場合や、どの部品を選べばよいか分からない場合も、基板製造の前段階から早めにご相談ください。


