熱処理いろいろ(ベイク キュア アニール)

電子部品の製造において加熱する処理は多々あるかと思います。

同じ加熱でも用途によって呼び方が違いますよね。

今回はその中でもよく聞く(ことになるかもしれない)ベイク・キュア・アニールについての説明をさせていただきます。


ベイク(bake)

英単語のbakeは焼く・乾燥させるという意味になり、ベイクまたはベイキングと呼ばれる作業は、主に加熱する事でその製品や部品等に含まれた水分を飛ばす加熱処理の事を指します。

プラスチック(樹脂)は吸湿する特性があります。

長期間保管した製品や部品等は、ベイク処理を行わないまま次の加工へと進めてしまうと樹脂に含まれた水分により、クラックが入ったり変形したりするリスクがあります。

あらかじめ加熱処理を行い吸湿された水分を飛ばす事でそのリスクを軽減させることができます。

 

キュア(cure)

英単語のcureは(病気等を)治すという意味の他に、硬化させるという意味があります。

ここでのキュアまたはキュアリング作業は、熱硬化性樹脂を加熱し硬化させる加熱処理の事を指します。

加熱する事により、樹脂等に架橋反応 ( 高分子同士が結合し柔らかかったものが硬くなる ) と呼ばれる化学反応が起こり、製品が硬化します。

接着や塗装等でよく行われる作業です。

他にも樹脂硬化にはUV等の光や放射線等を使う方法もありますが、ここでは割愛させていただきます。

 

アニール(anneal)

英単語のannealは焼きなます・焼き直すという意味になり、アニールと呼ばれる作業は、

製品を焼きなます事で製品内の残留応力等を減少させ、製品のゆがみや割れを防いだり、製品内の材質の偏り等を減少させる加熱処理の事を指します。

アニールを行わずに次の加工へ進むと製品内のひずみにより、その製品が損傷したりイビツな形のままとなったりしますので、製品不良の要因を取り除くために必要な作業です。


上記3種類の他、実装で使われるリフロー炉や繊維等に使われる焼き切り等、同じ加熱処理でも様々な呼び方、用途があります。

ひとくくりに熱処理といっても、奥が深いですね。

以上、プリント基板の製造工程で使われる熱処理(ベイク キュア アニール)の説明でした。