プリント基板の誕生と進化
なぜ今、基板の「昔話」なのか
今ではスマホから自動車、さらには宇宙機器まで、ありとあらゆる電子機器に使われているプリント基板(PCB)。
でも、その歴史は意外と浅く、誕生してまだ80年ほど。昔話のように聞こえて、実は今の生活を支える超重要技術なんです。
今回はそのルーツを振り返りつつ、「どうやってここまで進化したのか?」を一緒に見ていきましょう。
プリント基板登場前 — 実は大変だった配線作業
昔は、電子部品同士をポイント配線という方法で、手作業でひとつひとつつないでいました。
真空管ラジオや当時のコンピュータでは、熟練の職人がコツコツ配線していたのですが…
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配線ミスや断線のリスクが高い
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接触不良やノイズの発生も多い
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作業時間がかかりすぎて大量生産に向かない
つまり「技術はあるけど、生産が追いつかない」状況だったのです。
発明のきっかけ — 軍用から民生へ
そんな状況を変えたのがプリント基板。発明者はオーストリア出身の技術者、ポール・アイスラー。
1943年、戦時中のイギリスで軍用無線機に初めて採用されました。
戦後、日本のメーカーもこの技術を取り入れ、1950年代にはラジオやテレビで一気に普及。
当時はまだ「片面に銅箔を貼って、不要部分をエッチングで除去」するシンプルな構造でした。
基板技術の進化
プリント基板は、その後も止まることなく進化していきます。
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1950〜60年代:片面 → 両面基板へ。スルーホール技術で立体的な配線が可能に
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1970年代:多層化で高性能・小型化に対応
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1980〜90年代:SMT(表面実装技術)普及で部品が小型化、高密度化へ
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2000年代以降:高速・高周波対応、HDI基板、放熱・耐熱性能の強化が進む
材料や製造方法の進化
初期は紙フェノール系(ベークライト)が主流でしたが、耐熱性・強度向上のためガラスエポキシ(FR-4)へ移行。
さらに発熱の大きいパワー素子向けには、アルミ基板や銅ベース基板といった放熱性に優れた素材も登場しました。
製造工程もレーザー加工やAOI(自動光学検査)、インクジェットによるパターン印刷など、自動化と精度アップが加速しています。
現代の基板は「ただの板」じゃない
今のプリント基板は、さまざまな分野で重要な役割を果たしています。
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IoT機器:小型・高密度実装を実現
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EV(電気自動車):高耐熱・高電流対応で安全性を確保
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再生可能エネルギー:高信頼性パワー用基板
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宇宙・航空分野:極限環境でも動作する特殊素材基板
もはや「部品をつなぐための板」ではなく、製品の命を支える存在です。
過去から今、そして次へ
プリント基板は80年間で、片面 → 両面 → 多層 → 高密度と、進化の階段を登ってきました。
当社アロー産業では、多品種小ロット対応、放熱基板、特殊基板など、お客様の多様なニーズに応える体制を整えています。
これからも「次の進化」に向けて、技術力と品質の両立を追求していきます。


